山梨大学前の星野書店

山梨大学前の小さな書店の日記です

焼き芋プリン

元大学の教授H先生は、焼き芋作りが趣味だ。

冬の間、何度か自作の焼き芋を届けてくれる。

 

少しはそのまま食べるけど、

ここ何年かは焼き芋プリンを作ることにしている。

なぜなら、私はプリンが大好きだから。

 

ふだんからプリンを作っている、というわけではない。

というかふつうのプリンは、ほぼ作らない。

プリンを作るより別のお菓子を作るほうが好きなのだ。

でも、焼き芋プリンは作るのも食べるのも大好き!

 

材料は焼き芋、砂糖、バター、ハチミツ、卵、牛乳。

 

難しい工程もないし、大きな型に楽しく作って、

思う存分、たっぷり食べられる。

 

ただし、かなりの量の砂糖を使い、どう考えても高カロリー。

体重が増えて顔が丸くなることは避けられない。

別に気にしない~!と、ひらきなおって楽しむのだ。

 

あぁ、もう焼き芋の時期はおしまい。

また来年!

 

 

イチ本屋好きとしての東京本屋さん巡り

本屋の立て直しを本格的に始めてから約10年。

ここまではどうやって店を立て直すか、

どうしたら継続させられるか、

それで手一杯だった。

 

今、ひとまず店は続いている。

でもいっときも気をゆるめることができないくらい本屋をとりまく現状は厳しく、

これから先、どういう店を目指したらよいか日々模索している。

 

昨日、東京の本屋さん巡りをしてきた。

 

子育てがほぼ終わり、最近はかなり自由に時間を使える。

趣味と仕事を兼ねて、今回はイチ本屋好きとして本屋さんに行ってみた。

 

お客さん目線で、

どんなお店だったら入りたいと思うか、

買いたいと思うか。

静かな店、

並べ方がきれいな店、

店主の顔が見える店。

いろいろ・・

 

確かなことはやっぱり、並んでいる本が魅力的であること。

 

この店で買おうと思ってもらえるように、

これからもいろいろ挑戦して考え続けます。

選んで並べている本が売れるということ

そのお客様は、少し離れた町から来てくださいます。

 

ゆっくりと店内を見て回り、

今日も両手いっぱいの本を買ってくれました。

 

私が自分で選んで並べている本をたくさん。

 

店を経営していくうえでベストセラーや雑誌は必要で、

問屋さんから自動的に送られてくる本もあるけれど。

 

自分がこれはと思った本を並べることは、

経営的にも精神的にも、とても大事だと思っています。

 

この店らしさをつくるもの、

それは接客や並べる本であって、

本が売れるということは、

店を肯定してもらえているということ。

背中を押してもらっているということ。

 

ありがたい気持ちでいっぱいです。

本は送られてくるようになったけれど

「本屋の存続危機」なんて言葉がなかったころ、

うちみたいに小さい店は、書籍も雑誌も思うように入荷しなくて大変でした。

問屋さんの発注システムも今ほど発達していなかったし、

小さい店の宿命と思っていました。

 

でもこの何年かで事情は変わり、

潤沢に本が送られてくるようになってきました。

もちろんいいことではあるのですが、内心複雑。

 

つまり・・・本がダブついている。

送り先である本屋の数が足りないのではないか。

 

特に雑誌についてそんな気がします。

以前、雑誌は売れなくて返品すると2,3か月で送品数が調整され、

減数されたり送品が止まったりするのが当たり前だったのに、

最近では逆に送品数が増えていたりするのです。

 

そして、返品ばかりしている。

新しく発売になったものを並べて前号を引っ込めて、

をくりかえすむなしさよ。

 

資源、労力、エネルギー・・無駄が多すぎる。

本屋をとりまく残念なあれこれが、

良い方向に向かうよう祈らずにいられない。

・・じゃないな、当事者でもあるのだから、

適正な入荷になるよう働きかけること、

なるべく売り切ることに力を尽くし、

できることをがんばります。

 

 

 

 

13年前のあの日

山梨大学の後期試験を受けに来た彼女は、

「何かあったらお願いね」と連絡をもらっていた、

義母の知り合いの娘さんでした。

 

たった一人で知らない街で大地震に遭い、

不安でたまらなかったことでしょう。

翌12日の朝、泊まっていたホテルからうちの店までやって来ました。

 

とにかく家に帰りたいとの彼女の希望をかなえるべく、

甲府駅で彼女の住む町へ辿りつけそうなバスに乗るところまで付き添い、

同じバスに乗り込む見知らぬ方にも「この子をよろしくお願いします」と声をかけながら見送りました。

時間はかかったけれど、無事に帰りついたと連絡があったときはホッとしました。

 

初対面の私しか頼る人はなかったけれど、

誰もいないよりどんなに心強かったか。

 

後日、親御さんから丁寧なお礼がありました。

 

あれから13年。

彼女は小児科医になって子供もいるとのこと。

 

毎年思い出す、私の3・11です。

店は休みだけど

今夜も返品の荷造りを。

 

NHK常備セットの語学と趣味の本。

一年に一度の入れ替えです。

 

このほか、

いつものように雑誌の箱と、

コミックの箱と、

書籍の箱をつくります。

 

中身はすべて問屋さんに返品する本。

これが限りなくゼロに近くできたらなぁ。

 

けっこうな重労働。

体を鍛え続けることができるという利点あり、

ということにしておこう。

 

芥川賞・直木賞発表直後に

せっせとFAXを送ります。

出版社はもう終了している時間。

こんな時はやっぱりFAXです。

 

うちの店みたいに小さいと、

ほっといたら受賞作は入ってきません。

 

なんだかんだいって、この二つの賞の力はすごいのです。

読んでみたいというお客様が多いですから。

 

今回も直木賞は2作が受賞し、よかったです。

受賞してもおかしくない作家さんがたくさんいるので、

どんどん受賞していただかないとあとがつっかえちゃう、と思います。

 

出版業界がニュースで大きくとりあげられる数少ない機会。

本屋にとってもありがたい。

ぜひとも乗っからなければ。

 

というわけで、

今回もせっせとFAX送りました。

芥川賞直木賞、受賞おめでとうございます!