山梨大学前の星野書店

山梨大学前の小さな書店の日記です

選んで並べている本が売れるということ

そのお客様は、少し離れた町から来てくださいます。

 

ゆっくりと店内を見て回り、

今日も両手いっぱいの本を買ってくれました。

 

私が自分で選んで並べている本をたくさん。

 

店を経営していくうえでベストセラーや雑誌は必要で、

問屋さんから自動的に送られてくる本もあるけれど。

 

自分がこれはと思った本を並べることは、

経営的にも精神的にも、とても大事だと思っています。

 

この店らしさをつくるもの、

それは接客や並べる本であって、

本が売れるということは、

店を肯定してもらえているということ。

背中を押してもらっているということ。

 

ありがたい気持ちでいっぱいです。

本は送られてくるようになったけれど

「本屋の存続危機」なんて言葉がなかったころ、

うちみたいに小さい店は、書籍も雑誌も思うように入荷しなくて大変でした。

問屋さんの発注システムも今ほど発達していなかったし、

小さい店の宿命と思っていました。

 

でもこの何年かで事情は変わり、

潤沢に本が送られてくるようになってきました。

もちろんいいことではあるのですが、内心複雑。

 

つまり・・・本がダブついている。

送り先である本屋の数が足りないのではないか。

 

特に雑誌についてそんな気がします。

以前、雑誌は売れなくて返品すると2,3か月で送品数が調整され、

減数されたり送品が止まったりするのが当たり前だったのに、

最近では逆に送品数が増えていたりするのです。

 

そして、返品ばかりしている。

新しく発売になったものを並べて前号を引っ込めて、

をくりかえすむなしさよ。

 

資源、労力、エネルギー・・無駄が多すぎる。

本屋をとりまく残念なあれこれが、

良い方向に向かうよう祈らずにいられない。

・・じゃないな、当事者でもあるのだから、

適正な入荷になるよう働きかけること、

なるべく売り切ることに力を尽くし、

できることをがんばります。

 

 

 

 

13年前のあの日

山梨大学の後期試験を受けに来た彼女は、

「何かあったらお願いね」と連絡をもらっていた、

義母の知り合いの娘さんでした。

 

たった一人で知らない街で大地震に遭い、

不安でたまらなかったことでしょう。

翌12日の朝、泊まっていたホテルからうちの店までやって来ました。

 

とにかく家に帰りたいとの彼女の希望をかなえるべく、

甲府駅で彼女の住む町へ辿りつけそうなバスに乗るところまで付き添い、

同じバスに乗り込む見知らぬ方にも「この子をよろしくお願いします」と声をかけながら見送りました。

時間はかかったけれど、無事に帰りついたと連絡があったときはホッとしました。

 

初対面の私しか頼る人はなかったけれど、

誰もいないよりどんなに心強かったか。

 

後日、親御さんから丁寧なお礼がありました。

 

あれから13年。

彼女は小児科医になって子供もいるとのこと。

 

毎年思い出す、私の3・11です。

店は休みだけど

今夜も返品の荷造りを。

 

NHK常備セットの語学と趣味の本。

一年に一度の入れ替えです。

 

このほか、

いつものように雑誌の箱と、

コミックの箱と、

書籍の箱をつくります。

 

中身はすべて問屋さんに返品する本。

これが限りなくゼロに近くできたらなぁ。

 

けっこうな重労働。

体を鍛え続けることができるという利点あり、

ということにしておこう。

 

芥川賞・直木賞発表直後に

せっせとFAXを送ります。

出版社はもう終了している時間。

こんな時はやっぱりFAXです。

 

うちの店みたいに小さいと、

ほっといたら受賞作は入ってきません。

 

なんだかんだいって、この二つの賞の力はすごいのです。

読んでみたいというお客様が多いですから。

 

今回も直木賞は2作が受賞し、よかったです。

受賞してもおかしくない作家さんがたくさんいるので、

どんどん受賞していただかないとあとがつっかえちゃう、と思います。

 

出版業界がニュースで大きくとりあげられる数少ない機会。

本屋にとってもありがたい。

ぜひとも乗っからなければ。

 

というわけで、

今回もせっせとFAX送りました。

芥川賞直木賞、受賞おめでとうございます!

 

今年もよろしくお願いします

本日、初仕事です。

元日から大地震や飛行機事故など、

なんだか不穏な年始となりました。

 

わが家では・・実は12月中に家族の不幸があり、

2年連続の喪中となりました。

 

なので12月後半は慌ただしかったのです。

店も忙しい時期でしたので1日だけ休業し、ふだん通りを続けました。

 

年末年始は特に何もしないまま、静かにお正月を過ごしました。

 

事後報告になりました。

年始のあいさつもなく変だな・・と思った方もいらっしゃるかもしれません。

が、大丈夫です。

もう元気に仕事を始めています。

 

本年もごひいきに、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

今年もありがとうございました

今日は2023年の最終営業日です。

 

最近はコロナ禍も落ち着いてきて、

お客様とのやりとりも以前のように「お話しながら」になってきました。

にぎやかな日常が戻ってきたことを実感しています。

 

相変らず厳しい出版業界ですが、

地域のみなさまに支えられながら、

今年も無事に1年を終えようとしています。

 

通販の購入ボタンを押すように、

気軽に注文をしてもらえる店にしたい。

このところ私が取り組んでいることのひとつです。

 

また、「ここに来れば何かしらほしいと思う本がある」

そう思ってもらえるような品揃えをすることが大事だと思っています。

1ヶ月に1度は店をのぞいてもらい、1冊でも買っていただけるように。

 

そうした1冊1冊の積み重ねに支えられている店です。

 

今年も当店をご利用いただきありがとうございました。

新しい年もどうぞよろしくお願いいたします。