19歳の夏。
大学は夏休みとなり実家に戻っていた私。
ひとり旅をすると決めたはいいが、バブルな時代の避暑地はハイシーズン。
どこも込み合い、雑誌片手に宿泊先を探したが容易には見つからなかった。
たったひとつ、山の中の民宿に空きがあった。
なんとか無事にたどり着き、慣れない場所にちょっとドギマギ。
夕食の時間に広間に行ってみたらほぼすべてが家族連れ。
ポツンとひとり座敷で食事する私は、果たしてどんな風に見えたのだろう。
ガヤガヤとにぎやかな場所に、どう見てもおかしい。
浮いている。
なぜそんなところに一人でいるのか。
あやしかっただろうな・・。
旅を終え実家に戻ってきた私は、1本の電話があったことを知る。
それは民宿からだった。
ひとりでやってきた私のことを心配して、
「お嬢さんがひとりでこんなところに泊まりに来ているが大丈夫か」と確認したらしい。
あまりにも場違いすぎて、家出?とかもっと最悪のことを考えていたみたい。
大変お騒がせしました。
夏が来ると思いだす19歳の夏です。