山梨大学の後期試験を受けに来た彼女は、
「何かあったらお願いね」と連絡をもらっていた、
義母の知り合いの娘さんでした。
たった一人で知らない街で大地震に遭い、
不安でたまらなかったことでしょう。
翌12日の朝、泊まっていたホテルからうちの店までやって来ました。
とにかく家に帰りたいとの彼女の希望をかなえるべく、
甲府駅で彼女の住む町へ辿りつけそうなバスに乗るところまで付き添い、
同じバスに乗り込む見知らぬ方にも「この子をよろしくお願いします」と声をかけながら見送りました。
時間はかかったけれど、無事に帰りついたと連絡があったときはホッとしました。
初対面の私しか頼る人はなかったけれど、
誰もいないよりどんなに心強かったか。
後日、親御さんから丁寧なお礼がありました。
あれから13年。
彼女は小児科医になって子供もいるとのこと。
毎年思い出す、私の3・11です。